
品質監査の活用方法について
品質まにあ流の変わった視点で書いています。
もしもこの内容が実現するのであれば
日本のものづくりの品質はきっともっと良くなると信じています。
クレーム対応や監査での指摘事項に日々追われている品質担当者のお仕事が、
もっと楽しく、もっと前向きに変わります。
一人でも多くの方に共感していただけたら嬉しく思います。
品質監査はとても幅広く一言では語れません。
前半は簡単に監査の概要を、
後半は監査の常識とは違う視点からの改善提案。
そのような構成となっております。
■品質監査の種類
■取引するための認定監査
品質要求を満足できる『体制(仕組み)』と『工程』であることを確認する監査
■定期監査
☆第一者監査(内部監査)
・品質マネジメント監査
品質マネジメントシステムと国際規格 ( ISO9001 / IATF16949 ) の適合を確認します。
・製造工程監査
製造工程とコントロールプランの整合と有効性を確認します。
・製品監査
製品の寸法や機能・性能など仕様(要求事項)の適合を確認します。
☆第二者監査(外部監査)
・顧客による監査
品質状況や自主監査の結果を見て、顧客が必要性の判断を行います。
顧客独自のルールに従い定期的に行われたり、随時行われます。
☆第三者監査(ISO認証監査・更新監査)
・計画や認証更新により、認証機関により実施されます。
■臨時監査
臨時に行う監査。下記の場合に実施する。
- 突発的な品質問題が発生して、緊急の調査や改善が必要な時
- 重要な不具合や品質問題が頻発している時
- 重要な変更がある時
- 新しいアイテムや新しい工程の時
- 責任者が必要と認めた時
■二次以降取引先の監査
取引先は二次以降取引先監査を行う。
監査項目は以下を例とする
- 納入品の品質
- 部材の品質保証体制
- 部材の製造工程
- 部材の仕様
- 納期パフォーマンス etc.
■フォローアップ監査
指摘事項に対して、改善状況の確認を行う監査のこと。
■監査の範囲
監査の範囲は、取引先の品質システムを全般として、例として以下を含めて確認する
- 品質方針及び組織
- 品質保証体制、品質システム
- 製品の品質
- 部材の仕様や設計管理
- 部材や製造工程の管理
- 標準類の管理
- 取引先の管理
- 製造設備の管理
- 試験機・測定器・検査機器の管理
- 出荷検査及び信頼性試験
- 不具合対策
- 品質監査
- 品質教育や訓練
■品質監査の問題

日本企業、日本人の性質として、品質監査で指摘を出さない。
多くの人がそう感じていると思います。
・ちょっとくらいルールを守っていなくても何も指摘されない。
・認証取り消しや監査不適合にはならない。
『ちょっとくらい大丈夫』これが重大な品質問題になるのです。
監査は品質問題や重大なミスを防ぐための未然活動なのです。
欧米企業からの監査を受けると指摘が多く、
日本の監査とは違うということをはっきり認識できます。
『監査をやることが目的』になる。
やることが成果として認められてしまう。
文句を言わず、反抗せず、ただやればよいのです。
指摘事項を増やして問題を見えるようにしてはいけません。
言う通りに動く人材が重宝され、日本人らしい好き嫌い人事が生まれます。
しっかり指摘をして改善するよりも、
指摘少なく数をこなす方が評価される構図となってしまいます。
※審査機関の審査員には、指摘を出すことがノルマとして課せられているという噂も聞きます。
一概に言えないこともありますが、
ここでの話は前向きな発想を導くためと、捉えていただきたい内容です。
■品質保証部門の抱える問題

それはなぜ起こるのか?どうしたらよいのか?
部門の目標は:不良品がゼロ 不良による損金がゼロ円です。
でも実際には、ゼロのはずのクレームの対応に追われる。
そのたびに、
上流改善だ源流改善だと言われるが、そんな時間はない。そんなリソースもないのが現実。
そしていくらクレーム対応をしても、評価されることはありません。
監査を担当し、指摘を出せば、
その指摘事項が改善されたことを、問題が刈り取られたことを、
自分で対応しないといけません。
つまり監査で指摘を出すということは、自分のやることを増やすということです。
■品質保証・品質管理のお給料の実態
平均年収489万円(順位:35位/100職種中)
下から数えた方が早い順位です。
転職サイト:『品質関連』電気、電子、機械系でまとめた結果となります。
IT関連では、インターネット、通信、サーバーエンジニア系の品質関連
平均年収465万円
こちら調査結果によれば、
” エンジニア ” の平均年収は592万円です。
品質担当者の給料が、エンジニアの中でも低い事がわかります。
こちらの平均年収が高いと思った方はチャンスです!
未経験の方もエンジニアになるチャンスはございます。
■品質担当のお給料が低い理由

品証が評価されないのは減点方式だから
仮にクレームがゼロだとしても、プラス評価はされない。
ゼロが当たり前なのです。だからいかにマイナスにならないか。
多くの品質担当が抱える共通の悩みではないでしょうか。
生産におけるどの部門よりも幅広い知識と経験が必要で、
柔軟な対応力が求められるのに、
「目標は不良ゼロ」

ゼロなんてありえない。
自動車業界で求められる品質はとても厳しいのです。
もう少し正確に言うのであれば、100万個に3.4個。
多くの自動車メーカーの要求です。
最近ではさらに厳しいことを言われます。
つまりゼロではないけど、ほぼゼロです。
例えば工場の作業者がボタン一つ押し忘れただけで、
不良になることもあり、目標未達となります。
押し忘れを防げなかった私の責任として、お客様のところに謝罪に行くこともあります。
引用元:写真AC(うなぎパイ工場の生産ライン)
■逆転の発想

じゃぁどうしたらよいの?
品質まにあは常識を否定します。

評価を加点方式に変えてみたらどうだろう。
品証がやるべきは未然防止活動なのです。
指摘を出す。改善する。
それが未来の不良を減らすことに貢献することなのです。
指摘事項を見ぬふりしても不良は減らせない。
指摘したらやることが増えるだけでは不良は減らせない。
品証って何やってるの?
品証ってムダだよね?
となってしまう。
品証の目標は「不良ゼロ」ではなく、
指摘件数、指摘から改善した件数。
監査の目的はやることではなく、指摘を出すこと。
指摘を出すことはつまり、未来の不良を防ぐこと。
監査員の成果は、有益な指摘が出来るかどうか。
指摘から被監査側の不良体質を変えられるかどうか。
気づきを与えられるかどうか。
動機付けが出来るかどうか。
成果が給料に反映できる仕組みがあれば、
監査員は勉強します。
指摘出すために真剣になります。
製造部門も改善するわけだから不良が減ります。
製造部門としても指摘されない為に、設計や生技部門に改善を求めます。
材料管理の為に購買部門にも強気になります。
■まとめ 品質監査をもっと活用する方法
今度は逆に指摘を出すことが目的になる、
点数稼ぎの活動になることも考えられるでしょう。
そんなことを言っていては、何も変えることは出来ない。
今回の内容は現状を否定するものではありません。
品質監査という異質な空気が漂う場を、もっと活用しようよ というものです。
常識を否定する。
伝統を変える。文化を変える。環境を変える。
とても勇気がいることです。
しかし行動しなければ何も変わりません。
エンジニアの日々の活動を、もっと前向きに活用したいですね。
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品質まにあは行動するあなたを応援します!
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